神奈川自治体問題研究所とは
日本国憲法は、人権の保障と国民主権・平和主義・地方自治を規定し、中央政府と地方政府の2元的統治構造を定め、それぞれの地域に住んでいる人達が、その意思に基づき、
地方政府としての自治体を動かしていくことを決めています。
日本国憲法の理念が息づく地域と自治体をつくることが、住民の豊かな暮らしと幸福のたしかな保障です。
神奈川自治体問題研究所は、日本国憲法に基づく地方自治、住民本位の自治体の確立に寄与するために、調査、研究活動を行っている
研究所です。1970年に設立され、神奈川県内を基本的な活動領域として、住民や自治体労働者、学者研究者の人達と一緒に
活動を行っています。
川崎、鎌倉、藤沢の3支所と西湘、相模原、横浜、三浦半島、湘南の5つの地域に「まちの研究会」があります。
主な活動内容
(1)地域と自治体に関する調査・研究、自治体交流活動
2013年に県内34自治体の中小企業と商店街振興策、2014年に総合計画の策定状況、2015〜2016年は、公共施設等総合管理計画について、2018〜2019年は地域ケアシステムについて、2020〜2021年は、コロナ禍のもとでの災害時避難所のあり方についての調査を実施し、
いずれも高率での回答があり結果を分析公表しています。
公共施設等総合管理計画調査結果の分析はこちら。
地域ケアシステム調査結果の分析はこちら。
コロナ禍のもとでの災害時避難所の分析はこちら。
(2)自治体問題の学習会・シンポジウム・講座などの開催
毎年一回神奈川自治体学校を開催。各地域でのシンポジウム、フォーラム、財政分析講座、研究集会などを開催しています。
(3)雑誌「住民と自治」の配布、研究誌、月報などの発行
(4)学習会・研究会の講師、住民運動のアドバイザー紹介
(5)自治体問題に関する出版物の紹介、販売
当研究所や自治体研究社などが発行している出版物の紹介、販売しています。
主な役員
理事長 長尾演雄(横浜市大名誉教授)
副理事長 内山正徳(研究所鎌倉支所代表)
〃 佐伯義郎(NPOかながわ総研)
〃 政村 修(神奈川自治労連書記長)
〃 田中美穂(横浜市従委員長)
〃 矢後保次(ヨコハマ市民環境会議副代表)
事務局長 渡部俊雄(専任)
事務局次長 鈴木久夫(年金者組合神奈川県本部)
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最新ニュース
●研究所だよりを更新しました(2024.3.12)
●リンクのページを更新しました(2023.12.22)
●イベントのページを更新しました(2024.3.18)
●書籍・出版物のページを更新しました(2024.3.12)
●入会案内のページを更新しました(2024.3.1)
●理事長あいさつを更新しました(2024.2.1)
●神奈川自治体学校のページを更新しました(2024.2.1)
●地方自治の危機
沖縄辺野古基地をめぐる一連の訴訟で、裁判所は沖縄県の主張を退け、大浦湾の埋め立て不承認の県側の決定を取り消し、埋め立てを承認する国の決定を支持しました。これに続く軟弱地盤発見に伴う計画変更についても、同様の経過をたどって、県側の主張を退ける判決を下しました。そして、あくまで埋め立ての申請を承認しない沖縄県に代わって、国が「承認」を代執行するということが行われています。
国(防衛省)が埋め立て申請し、県が不承認とすると、今度は私人に成りすまして国(農林水産省や国土交通省)に県の不承認決定は不当だと訴え、国(農林水産省や国土交通省)は県の不承認決定は間違っているから取り消せという。これ自体がおかしなことなのに、国が代執行をしてまで埋め立てを承認してしまう。こうした結果として独り芝居の茶番劇をこの国の中央政府は演じて見せたのです。
それを後押ししたのが司法機関である裁判所です。行政府である内閣と司法である裁判所が手を組んで沖縄県が持っているはずの権限を奪い、沖縄県民の意思を無視した基地建設を強行する。
こうしたことがまかり通るなら、沖縄県だけでなく日本のあらゆる自治体が国のやることに抵抗することは不可能となってしまいます。まさしく地方自治の危機です。
いずれの裁判でも、裁判所は埋め立ての是非についての実質審理を回避し、国と沖縄県が代表している県民の利益や意思の争いではなく、国と県、公益と公益の争いであり、そこでは「国に自治体は従うべき」という論理を展開しています。これは、司法の危機と言ってもよいでしょう。
地方自治体は憲法の理念を具体化する任務を負っている地方政府であり地方自治の危機は、まさに憲法の危機です。あるいは憲法が危機に陥っていることの象徴的な出来事が沖縄県の地方自治をめぐっておきていると言ってよいでしょう。
沖縄においては、憲法が踏みにじられ、地方自治が踏みにじられています。本土復帰に伴う、米軍基地の本土からの移駐、沖縄への基地の集中、そして、人権侵害、犯罪、事故の被害にあわされています。今日の沖縄は明日の神奈川である可能性があります。
今後論議される地方自治法の改正では、大規模な災害や感染症の際の対応について、国は自治体に対して「補充的指示権」を発動することが可能となる可能性があります。沖縄県の事態を日常化、全国化する動きとして警戒する必要があります。
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